【 論文掲載】計画班D01名古屋大学瀧口講師らの研究成果がThe Journal of Chemical Physics誌誌に掲載されました

2021.08.20

計画班D01名古屋大学瀧口講師らの研究成果がThe Journal of Chemical Physics誌に掲載されました

Waizumi, T., Sakuta, H., Hayashi, M., Tsumoto, K., Takiguchi, K., & Yoshikawa, K. (2021). Polymerization/depolymerization of actin cooperates with the morphology and stability of cell-sized droplets generated in a polymer solution under a depletion effect. The Journal of Chemical Physics155(7), 075101.

高分子(polyethylene glycol (PEG) と dextran (DEX))の作る混雑環境下、液-液相分離・微小液滴形成が起きている溶液中では、アクチン線維が液滴内に濃縮されることによって、アクチン重合の促進とアクチン線維の束化や凝集形成が生じます。
今回この効果によって、PEG/DEX二成分高分子溶液中では、アクチン線維の切断・脱重合因子であるfragminと呼ばれる蛋白質を加えても、アクチン線維が長時間脱重合されずに液滴内に留まること(図、上段)、先にfragminの添加によって脱重合させておいたアクチンでも、重合促進効果によって線維を形成して液滴内に移動すること(図、下段)、が明らかになりました。

ところで通常、液滴は球形になりますが、アクチン線維が内部に濃縮している場合、歪な形状をしたものが多くなります。そこにfragminを加えても、アクチン線維が脱重合されずにいる為に、形状が球形には戻らないこと、それどころか液-液相分離が不安定になり、液滴の消失が生じる場合さえ有ることも分かりました。これらは、分子サイバネティクスの実現化の為に必要な分子ロボットの変形運動機関として、アクチン細胞骨格系をリポソームに実装する際の重要な知見となります。