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2024.06.06

分子ロボティクス夏の学校 講義・講習の内容と日程

● 講義(90分):毎火曜日 19:00-に開講します。
  分子ロボティクスのトピックスに関する講義のあと,次の回で講習するソフトウェアを使って解くべき課題を解説します.
● ソフトウェア講習(120 分):毎金曜日 19:00-に開講します.
 ソフトのインストールから使い方までを学習したのち,グループで課題を解きす.

プログラム

7月 5日(金) 19:00- 開校式

講義0 イントロダクション ・・・課題なし

    ~分子システムデザイン・分子ロボティクス・分子サイバネティクス

講師 葛谷 明紀(関西大学教授)

分子ロボティクスは,一から設計した分子を部品としてロボットと呼べるようなシステムを創り出すことを目的とする新しい学術分野です.本講義では,分子ロボティクスへの導入として,この分野の全体を俯瞰的に紹介します.まず,分子ロボティクスの基本となっているのが分子システムデザインです.これは,DNAやペプチドをはじめとする「配列をもつ高分子」を設計・合成して,さまざまな機能部品や構造をつくりだす技術です.分子ロボティクスはそうした部品を有機的に組み合わせて,システムを創り出す技術を研究する分野で,特に,人工の細胞の中にさまざまな分子部品をいれた細胞型分子ロボットの開発の研究が進んでいます.分子サイバネティクスは,2020年にはじまった科研費のプロジェクトで,そうした人工細胞を多数組み合わせて,ある種の学習能力をもったシステムをつくることに挑戦するプロジェクトです.

7 月 9日(火) 19:00- 講義1 構造 DNA ナノテクノロジー

講師 鈴木 勇輝(三重大学准教授)

7 月16日(火) 19:00- 講義2 DNA コンピューティング

講師 中茎 隆(九州工業大学教授)

DNA回路を設計することは,DNA分子反応系のダイナミクスを設計することにほかなりません.本講義では,DNAの2重鎖形成反応およびさまざまなDNA酵素反応の反応速度論の基礎を学ぶとともに,それを用いたさまざまなDNAコンピューティングモデルを紹介します.

7 月23日(火) 19:00- 講義3 分子システムデザインのためのソフトウェア群

講師 佐藤 佑介(九州工業大学准教授)

複雑で目に見えない大きさの分子システムを設計する上で,様々なソフトウェアを駆使することは必須です.目的に合わせて様々なソフトウェアを活用できるようになりましょう.ただし,ソフトウェアと一口に行っても,多様なツールがあります.例えば,部品となる分子を設計するツール,分子を可視化するツール,分子の振る舞いをシミュレーションするツール,様々な分子を組み合わせたときの挙動を予測するツール,などがあります.また,汎用的な描画ツールや,画像解析ツールなども,分子システムのデザイン・評価で活用できる場合があります.本講義では,分子デザインに使える可能性のあるソフトウェア群を幅広く紹介します.

7 月30日(火) 19:00- 講義4 DNA 酵素反応・人工核酸とその応用

講師 竹澤 悠典(東京大学助教)

本講義では,DNAを使った分子ロボティクスのツールとして,(1) 人工核酸,(2) DNA酵素反応,および (3) DNAzymeについて紹介する.(1) DNAに人工的な分子を導入することで,本来DNAが持ち得ない様々な機能を付加することが可能となる.二重鎖形成能の制御を中心に,人工核酸の設計と応用例について述べる.(2) ポリメラーゼをはじめとする一連の核酸関連酵素は,DNA分子システム構築の有用な道具でもある.代表的な酵素に絞り,その性質と応用について説明する.(3) ある種の配列のDNA鎖は,RNA切断などの触媒活性を持つことが知られ,DNAzyme(デオキシリボザイム)と呼ばれている.DNAzymeの性質と分子ロボティクスへの応用について,概要を紹介する.

8 月 6日(火) 19:00- 講義5 ペプチド工学

講師 平 順一(九州工業大学准教授)

分子ロボットを構成する材料の一つであるペプチド,およびそれらが会合した集合体の分子設計・合成方法・機能解析の基礎について解説する.具体的には,アミノ酸配列と二次構造の関係,ペプチド合成の歴史と固相法によるペプチドの化学合成,ペプチド鎖同士の連結法,構造の解析方法などについて述べる.また,生物に対して活性を持つペプチドや,人工的にデザインされたペプチドの応用についても概説する.

8 月20日(火) 19:00- 講義6 人工細胞工学 

講師 水内 良(早稲田大学専任講師)

人工細胞とは,細胞がもつ特徴や機能を取り出し,細胞を模した微小区画の中で再構成したものです.これにより細胞の各機能を詳細に解析できる他,制御可能な微小反応場,ひいては分子ロボットの構築に繋がります.一方で,非生物である分子を組み合わせて生命のように振舞う細胞を創り出す試みは,「生命とは何か」や「生命の起源」といった哲学的な問いへの直接的アプローチとしても期待されています.本講義では,現存する細胞のような脂質二重膜カプセルはもちろん,脂質膜を持たない区画構造など,様々な材料で構築される人工細胞について,形成原理や特徴,利用例について紹介します.生命の起源に関する人工細胞の貢献については力点を置いて解説します. 

8 月27日(火) 19:00- 講義7 アクティブマターとその応用 

講師 井上 大介(九州大学助教)

「アクティブマター」とは,化学エネルギーなどを運動エネルギーに変換する機構を内在的に有した物質群です.自発的に運動を発現するという点で,従来の物質群とは一線を画しています.本講義では,特に生体由来のアクティブマター(細胞骨格・生体分子モーター)を取り上げ,その動作原理,動態挙動について解説します.さらにアクティブマターを分子ロボットの動力源としてどのように活用していくのか,その実例についても紹介します.

課題1~課題6 最終締め切り

8 月30日(金) 19:00- 閉校式 (修了証授与)

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