【2023.12.13,19】CBI学会 「分子ロボティクス研究会」オンライン講演会のお知らせ(12/13(水))

2023.11.24

(当イベントは終了しました)

===== <研究会情報> =====
主催:CBI学会「分子ロボティクス研究会」
後援:科研費学術変革領域(A)「分子サイバネティクス」
日時:12月13日,19日 10:00〜11:10頃予定
場所:ZoomのURLを追って連絡いたします.
参加費:無料
参加申し込み:こちら

*申し込みをされた方に開催日の2日前までにZoomミーティング情報を配信します.入力されたメールアドレスを利用するため,入力ミスにはお気をつけください.
*なお、開催日までにZoomミーティング情報が届かない場合は、お手数ですが、下記<お問い合わせ>までご連絡ください.

===== <プログラム(両日ともに同じ)> =====

9:45-10:05 入室
10:05-10:10 世話人挨拶
10:10-11:00 招待講演

11:00-11:10 質疑応答

11:10頃に閉会予定

12月13日:曽宮 正晴先生 大阪大学産業科学研究所 生体分子反応科学研究分野 助教

「細胞内薬物送達と計算機によるタンパク質設計」

 細胞内へ遺伝子や薬物を送達することは、遺伝子・細胞治療、ゲノム編集、核酸医薬といったバイオ医薬品の実現に欠かすことのできない技術である。一例として、mRNAワクチンの実用化においては脂質ナノ粒子による細胞内RNA送達が重要な役割を果たしており、バイオ医薬品開発におけるドラッグデリバリーシステム(DDS)の重要性が再認識されている。本講演ではまず、細胞内に遺伝子や薬物を送達することの難しさと、ウイルス様粒子や細胞外小胞といった生体ナノ材料を使用したDDS開発の取り組みについて紹介し、さらに既存DDSが直面している課題について議論する。後半では、計算機を使ったタンパク質の設計とDDSへの応用について紹介する。近年の人工知能関連分野の発展に伴い、様々な構造や機能をもった人工タンパク質を、高精度かつ比較的簡単に設計することが可能になってきている。本講演では我々が取り組んでいる、DDSへ応用が可能なタンパク質ナノ粒子や膜融合タンパク質の設計について紹介する。

12月19日:石川 聖人先生 長浜バイオ大学 フロンティアバイオサイエンス学科 准教授

「細菌細胞を付着・集合させる遺伝子を読んで・壊して・利用して」

 自然環境中の多くの微生物は何らかの固体表面に付着した状態で存在すると言われている。これら付着微生物はバイオフィルムと呼ばれる膜状の集合体を形成する。微生物は、バイオフィルムを形成することで環境に対する頑強性を高めたり、高密度に集合することで物質変換効率を高めたりしている。つまり、単細胞の微生物はバイオフィルム中で多細胞化することにより高機能化している。病原性微生物によって構成されるバイオフィルムは排除すべき対象であるが、有用微生物によって構成されるバイオフィルムは環境浄化・排水処理・物質生産などに応用できることから、バイオフィルムを自在に制御することを目指した研究が長きにわたり実施されている。私達の研究グループでは、高付着性細菌Acinetobacter sp. Tol 5を題材として研究を実施してきた。Tol 5株は固体表面の物性に依存せず、非特異的に付着する。いわば、何にでもくっつく性質を有している。このユニークな性質はリピート配列を多く含んだataA遺伝子に由来することを突き止めた。ataA遺伝子は3630アミノ酸残基のポリペプチドとして翻訳され、ホモ三量体のAtaAファイバーを細胞表層に形成する。私達は、元来は付着性・凝集性のない細菌にataA遺伝子を導入し、その細胞表層にAtaAファイバーを生やすことに成功した。AtaA被毛細菌は、Tol 5株のような付着性・凝集性を発揮し、付着状態のままで物質生産反応に供することができた。さらに、AtaAファイバーを組換えタンパク質として大腸菌細胞内で生産し、それを材料としてAtaAファイバー被毛リポソームを作成した。この毛むくじゃらのリポソームは、AtaAファイバー被毛細菌と同様に固体表面に付着でき、付着状態のまま内包した酵素による物質変換反応を行うことができた。つまり、人工付着細胞として振る舞った。私達が発見したAtaAファイバーは、細菌細胞と人工細胞を付着・集合させる分子ツールとしての期待が高まってきている。本講演では、現在取り組んでいる人工細胞バイオフィルムの話題についても紹介したい。

 ===== <お問い合わせ> =====
長岡技術科学大学 岡田瞬  
Email: s193022@stn.nagaokaut.ac.jp

東北大学 中島大地 

Email: nakajima.daichi.r1@dc.tohoku.ac.jp